スマート農業においてエンジニアが活躍する分野と聞くと、農薬散布用のドローンを操作している場面が浮かぶのではないでしょうか。確かにドローンやロボットの操作はエンジニアの指導が必要なものの、それはあくまで一部に過ぎません。実際、エンジニアの働きが際立つのはAIに関連した作業です。
AIが持つ自動学習システムは非常に効率的ですが、システムが効果的な働きをするには初期段階で適切な設定が必要となります。例えば画像データや気象データを参照した分析を行う場合、数ある情報の中で重要なパラメータはどれなのか、最適解とはどのような状態なのかなどをAIに把握させなければなりません。病虫害に関する対策を立てたいなら、どんな状態になったら病気や害虫の被害が発生しているのかを最初に設定することが重要です。このようにスマート農業のシステムを稼働させる前段階で、エンジニアが多くの作業を行っています。
スマート農業を導入した後のメンテナンスも、エンジニアの重要な仕事の一つと言えるでしょう。AIが参照するためのデータは、時間の経過とともに適宜追加されてアップデートされていきます。そうしたデータを管理し、システム面で何らかのエラーが発生した場合、すぐに対処しなければならないのもエンジニアの役割です。加えてAIの参照するパラメータが増えてアルゴリズムの更新が必要になったら、そうした部分もすべてエンジニアが行う作業となってきます。